赤血球製剤の保存と輸血副作用

最終更新: 2019年9月9日

貴院では全血や濃厚赤血球を保存されていますか?今回は赤血球製剤の保存と輸血副反応について検討した論文のabstractをご紹介します。赤血球製剤の保存日数が長くなるにつれて、溶血を含めて様々な輸血副作用が多く出るのでは、、、と漠然と想像しているところに着目した研究です。

回顧的研究という性質もあり、輸血速度が緩徐だと発熱性輸血副作用が多かったという、やや疑問の残る結果も出ていますが、今後は輸血のモニタリング時に赤血球製剤の保存日数も考慮する必要があるかもしれません。(担当:鈴木、瀬川、久末)

Retrospective evaluation of the effect of red blood cell product age on occurrence of acute transfusion-related complications in dogs: 210 cases (2010-2012).

犬における赤血球製剤の保存日数が急性輸血副作用に与える影響の回顧的研究 著者:Maglaras CH, Koenig A, Bedard DL, Brainard BM

掲載誌:J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2017 Jan;27(1):108-120. PMID:27669368

目的:赤血球製剤の保存日数が、犬における急性輸血副作用の発生とその死亡率に影響を与えるかどうかを評価することを目的とした。そして、急性輸血副作用および死亡率は、製剤の保存日数の経過とともに上昇するものと仮説を立てた。

研究デザイン:2010-2012年における大学の動物病院での回顧的研究

方法:赤血球を含む製剤を輸血した犬の医療記録を評価した。患者情報として、輸血理由、製剤の種類/量/保存日数、輸血前検査の適合性、投与速度/経路/方法、複数回輸血を実施しているかどうか、基礎疾患、輸血副作用の発生(発熱、溶血性副作用、消化器症状、不整脈や血圧低下、神経症状、呼吸器症状など)、血液検査異常、そして生存率を調査した。輸血副作用に対する潜在的な危険因子と、同様に輸血副作用と生存率の関連について分析した。

結果:210症例における333回の輸血のうち、84件の輸血副作用が発生した。発熱がもっとも多く認められ(41/333回)、次に溶血性副作用が多かった(21/333回)。赤血球製剤の保存期間が長くなるにつれて、溶血性副作用が発生する危険性は有意に増加した(オッズ比 1.11:95%信頼区間 1.06-1.16;p<0.0001)。また、輸血副作用の発生は、輸血量が多いこと、輸血時間が長いこと、免疫介在性疾患を罹患していることと関連していたが、製剤の供給源や貧血の大分類(失血性、溶血性、無効造血)には関連していなかった。輸血副作用として発熱を呈した患者では、有意に輸血速度が緩徐であった。なお、赤血球製剤の保存日数は死亡率とは関連していなかった。

結論:赤血球製剤の保存日数が長期化すると溶血性副作用のリスクが上昇する一方、発熱性輸血副作用とは関連していない可能性が示唆された。この溶血性副作用が、血液製剤保存中のバッグ内での非免疫学的な溶血進行によるものなのか、あるいは輸血後に生体内で免疫学的な溶血反応が生じている為であるのかを、今後の前向き研究で明らかにしていくことが望まれる。

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