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猫の急性輸血反応発生率とリスク因子

以前、「犬の急性輸血反応発生率とリスク因子」というタイトルで、犬の急性輸血反応に関する論文を紹介しました。今回はその研究グループの続報で、猫の急性輸血反応発生率とリスク因子というタイトルの論文を紹介したいと思います。

やはり猫においても輸血反応として最も多いものは発熱性非溶血性輸血反応であり、一方、最も警戒するべき急性溶血性輸血反応は本文中に示されていますが3例(0.06%)しかみられなかったそうです。その3例はいずれも初回輸血であり、A/B抗原に基づいた血液型は一致しているものの、2例はクロスマッチを行わずに輸血、1例はクロスマッチを行ったものの全検体不適合でありやむなく輸血を行った症例だったそうです。ちなみに、全体で7例のクロスマッチ不適合輸血を確認しており、急性溶血性輸血反応がみられたのはそのうち1例のみとのことで、クロスマッチの手技が気になるところでしたがそこまでは記載されていませんでした。

その他に本文をみていて興味深かったのは、AB型の猫3頭に対してA型猫の赤血球製剤を投与、AB型の猫1頭に対してA型猫の血漿製剤を投与したものの、いずれも急性溶血性輸血反応が起きなかったとありました。AB型の猫に輸血を考慮する場合に大変心強い情報になると思われます。全体的に大変興味深い内容となっておりますので、本文とあわせてご覧いただければと思います。

(担当: 瀬川)


猫の急性輸血反応発生率とリスク因子に関する多施設共同研究


著者: Georgina B F Hall, Rachael Birkbeck, Benjamin M Brainard, Fernanda Camacho, Elizabeth B Davidow, Dana N LeVine, Andrew Mackin, Taylor Moss, Katherine J Nash, Giacomo Stanzani, Daria Starybrat, David Q Stoye, Carolyn Tai, John Thomason, Julie M Walker, K Jane Wardrop, Helen Wilson, Virginie A Wurlod, Karen Humm.


掲載誌: J Vet Intern Med. 2025 Nov-Dec;39(6):e70246. PMID: 41017431


背景と目的: 猫の輸血反応の発生頻度は報告によって様々であるため、2021年にAVHTM(The Association of Veterinary Hematology and Transfusion Medicine)が定義した輸血反応に関するコンセンサスに基づいて、猫における急性輸血反応の発生状況を明らかにすることを本研究の目的とした。


研究対象: 2022年3月から2024年1月にかけて輸血を実施された猫444頭および血液製剤608検体


方法: 北米、イギリス、オーストラリアの二次診療施設(n=14)において、急性輸血反応に関する多施設共同の前向き調査を行った。


結果: 急性輸血反応の発生率は、赤血球製剤で7.8%(95%信頼区間: 5.6-10.6)、血漿製剤で1.1%(95%信頼区間: 0.0-5.9)であった。赤血球製剤において最も多くみられた輸血反応は発熱性非溶血性輸血反応の5.7%(95%信頼区間: 3.8-8.1)であり、特に保存期間の長い赤血球製剤を投与した場合や(調整オッズ比: 1.04、95%信頼区間: 1.00-1.07)、シリンジポンプではなく輸液ポンプを用いた場合で多く発熱性非溶血性輸血反応がみられた(調整オッズ比: 4.7、95%信頼区間: 1.43-15.54)。輸血反応が懸念されて輸血を中断した28例において、46.4%の症例は輸血反応に関する上記の定義に該当する訳ではなかった。輸血24時間以内の死亡は18.3%の症例でみられたが、いずれも輸血反応との因果関係はみられなかった(オッズ比: 0.76、95%信頼区間: 0.29-1.99)。


結論と臨床的意義: 猫の輸血において発熱性非溶血性輸血反応が最も一般的な輸血反応であり、保存期間の長い赤血球製剤を使用する場合や輸液ポンプを用いて輸血する場合は特に注意が必要である。

 
 
 

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