top of page

血液製剤の保存と溶血

更新日:2023年8月17日

血液製剤、特に赤血球の保存を目的とした場合は溶血をいかにして防ぐか、が一つの重要なテーマになっています。その為に様々な抗凝固剤や赤血球保存液が流通していますが、今回の論文は溶血の評価方法について検討しています。主観的に肉眼で評価した場合と、客観的に血漿遊離ヘモグロビンを測定する場合とでは、やはりばらつきがみられるようです。血液製剤の保存期間が長期化する場合、一度血漿遊離ヘモグロビンの評価について検討されてみてはいかがでしょうか。

(担当:吉田、瀬川、中野)

犬の保存血の品質評価における溶血度の肉眼的観察および血漿遊離ヘモグロビンの比較


著者:Jaeger B, Reems M

掲載誌:Can Vet J. 2018 Nov;59(11):1171-1174. PMID:30410172 背景:犬の血液を目視にて溶血しているか否か判断し、米国食品医薬品局によって定められた基準と比較した。この基準では血漿遊離ヘモグロビン1%未満の溶血を正常としており、犬の保存血を輸血するか、あるいは廃棄するかの根拠となる。

方法:犬の保存血中の血漿遊離ヘモグロビンをそれぞれ測定し、その溶血が1%未満かどうか調べた。さらに、その保存血の溶血の程度を獣医師と動物看護師が目視で判断し、輸血に適正かどうか評価した。

結果:獣医師と動物看護師の溶血の評価には大きな差があった。動物看護師の方が保存血を輸血不適と判断しがちであった。獣医師は溶血の程度を過小評価もしくは過大評価する傾向にあった。

結論:輸血する前に、保存血中の血漿遊離ヘモグロビン量を測定し、溶血の程度を客観的に評価することを推奨する。

 
 
 

最新記事

すべて表示
献血ドナー犬の合併症調査

以前、献血ドナー猫の合併症調査に関する文献を紹介しましたが、今回は犬の献血における合併症を調査した研究報告となります。本文から少し抜粋すると、1年の間にドナー犬2,776頭、献血回数は合計4,439件と多くのケースを集めておりますが、合併症の発生頻度は37件(0.83%)と低頻度に抑えられていて目を見張るものがあります。筆者たちも考察していましたが、トレーニングを受けた動物用血液バンクのスタッフが

 
 
 
犬の献血バスの運用

今回紹介する論文は犬の献血バスの運用に関するもので、韓国の建国大学がヒュンダイ社のソラティという15人乗りくらいのサイズの車両をベースに犬用の献血バスを作製しています。トヨタ社のハイエースより一回り大きい全長約6mの車両のようなので、献血件数を重視する場合は手狭であったようですが、献血バスの導入としては必要十分であったように筆者たちも述べています。今後、日本においても犬の献血バスが稼働するようにな

 
 
 
輸血と感染症2

以前、 イタリアの動物用血液バンクでの節足動物媒介性の病原体保有率に関する報告 を紹介しましたが、今回は同時期に発表されていたカナダの血液バンクでの報告となります。犬において バベシア や ヘモプラズマ が輸血によって感染した報告がありますので、感染症のスクリーニング検査をどこまで、あるいはどの頻度で行っていくのかは議論の尽きないところです。 手前味噌ではありますが、きたる2026年5月24日の日

 
 
 

コメント


日本獣医輸血研究会 事務局

〒272-0141千葉県市川市香取1丁目4番10号 株式会社wizoo内

TEL: 047-314-8377

Mail: info@jsvtm.org

bottom of page