top of page

犬→猫への異種間輸血

2021年9月18日
読了時間: 2分

更新日:2023年8月17日

異種間輸血は通常の場面において選択肢となり得るものではありませんが、犬から猫への異種間輸血は、数十年前から現在に至るまで報告が散見されています。それらの報告における異種間輸血の適応とは、たとえば猫の血液に対して輸血反応を生じたことがある症例、緊急時、血液型が適合した血液製剤を用意できない場合、金銭的に余裕がない場合などが挙げられているようです。

今回紹介する論文は、犬から猫への異種間輸血における、おそらく過去最大規模の症例研究です。通常の場面において決して推奨されるべきものではないことを強調致しますが、知識の一つとして一読されてみてはいかがでしょうか。

(担当: 瀬川、丸山)


犬から猫への異種間輸血: 49例の調査結果


著者: A Le Gal, E K Thomas, K R Humm.

掲載誌: J Small Anim Pract. 2020 Mar;61(3):156-162. PMID: 31867733. 目的: 異種間輸血の適応やレシピエントになった猫の予後を示すこと、また、そのご家族が異種間輸血を認識できていたか調査することを目的とした。

材料および方法: 2016年1月から2018年7月までの間、2施設において異種間輸血を実施された猫を研究対象とした。異種間輸血の適応理由、貧血の原因、血液型、PCV、輸血量、輸血反応、輸血12時間後のPCV、生存退院かどうかについて調査を行った。なお、生存した猫のご家族には、異種間輸血を行ったことが認識できていたかについても調査を行った。

結果: 49頭の猫に対して、犬から猫への異種間輸血を実施した。貧血の主要因は、手術による出血が17頭、免疫介在性溶血性貧血および腫瘍が14頭ずつであった。輸血前のPCV中央値が10%、輸血12時間後のPCV中央値は25%であった。6頭(12%)の猫が発熱性非溶血性輸血反応を示し、10頭(20%)の猫が異種間輸血から24時間以内に死亡あるいは安楽死となった。また、15頭は輸血後1.9日(中央値)が経過した時点で黄疸、19頭は中央値2日経過した時点で血清の溶血を認めるなど、24時間以上生存した39頭の猫のうち、25頭(64%)に遅延性溶血性輸血反応を認めた。退院後1週間生存した18頭の猫について、15頭(83%)は異種間輸血後に173日(中央値)間生存していた。なお、連絡が取れた全てのご家族が異種間輸血を受けたことを認識できていた。

臨床的意義: 猫に対して犬の赤血球濃厚液を異種間輸血することは可能であるが、輸血後1-6日以内に溶血反応が生じることを想定するべきである。

 
 
 

最新記事

すべて表示
犬の血液型Kai1とKai2

これまで新しい血液型としてDalについては何度か取り上げたことがありますが、Kai1とKai2について取り上げたことがありませんでした。2017年に韓国の研究者が発見した血液型であり、Kaiとは韓国語で犬のことを指すそうです。この血液型は異型輸血により同種抗体が産生されることから、2回目以降の輸血では溶血性輸血反応を生じる恐れのある抗原として重要視されています。また、モノクローナル抗体が作製された

 
 
 
猫と犬の異種間交差適合試験

以前、犬の濃厚赤血球液を猫に異種間輸血した文献を紹介しましたが、今回はIn vitroにおける猫と犬の異種間での交差適合性について着目した研究です。結果、あくまでIn vitroではありますが、B型猫はA型猫よりも犬の血球の方が3.4倍も適合しやすいという内容に大変驚かされました。特にB型猫は遭遇頻度が低くドナーの確保が困難となりますので、危機的出血時など一刻を争う場面で「不適合と分かっているA型

 
 
 
輸血適応疾患の検討: 犬と猫の殺鼠剤中毒

殺鼠剤は急性毒剤と抗凝血剤に大別されますが、獣医療において殺鼠剤中毒というとワルファリンなどクマリン系の抗凝血剤が有名です。クマリン系の殺鼠剤はビタミンKの代謝拮抗剤であり、活性化にビタミンKが必要な凝固第II、VII、IX、X因子を阻害することでその効果を発揮します。したがって、輸血による活性化凝固因子の補充や貧血の是正、ビタミンKの投与がクマリン系殺鼠剤中毒の治療として考えられていますが、以前

 
 
 

コメント


日本獣医輸血研究会 事務局

お問合せ先

Mail: info@jsvtm.org

bottom of page