読者の皆様はヒトーアルブミン製剤の使用経験はございますか?異種蛋白である為、安易な使用は避けるべきですが、近年、国内外からこの血液製剤の使用に関する報告が散見されています。当研究会としても、今後このヒトーアルブミン製剤の使用について議論をしていく必要があるかもしれません。今回は、この血液製剤の副反応にフォーカスを当てた論文のabstractをご紹介したいと思います。(担当:吉田、瀬川、呰上)
※2020年9月更新※
こちらにも新しくアルブミン製剤に関する記事をアップロードしました。あわせてご確認下さい!
蛋白漏出性腸症のイヌに25%ヒト-アルブミン製剤を投与した21症例の回顧的評価
著者:Loyd KA, Cocayne CG, Cridland JM, Hause WR
掲載誌:J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2016 Jul;26(4):587-92. PMID:27159733
目的:特発性炎症性腸疾患(IBD)かつ蛋白漏出性腸症(PLE)と診断した犬に対する25%ヒト-アルブミン製剤(HSA)の投与を検討した。さらに、25%HSA投与による急性もしくは遅発性の副反応の発症、および副反応の発症予防に対するコルチコステロイドの有効性を調査した。
方法:二次診療施設における2003年から2013年までの回顧的研究
対象:IBDかつPLEと診断され、25%HSAを投与されたことのある犬21頭を対象とした。これらの21症例は、血清アルブミンが1.5g/dL未満もしくは体腔内液体貯留を伴う低タンパク血症を認め、病理学的に特発性IBDと診断され、診察記録が揃っているものを本研究に組み入れることとした。
結果:21頭中2頭(9.5%)が急性副反応を呈し、そのうちの1頭は重症であったため安楽死された。また、別の2頭(9.5%)は遅発性副反応を示し、そのうちの1頭は副反応が起こった5日後に安楽死された。しかしながら、この安楽死が遅発性副反応に起因したものかは不明である。コルチコステロイド投与は副反応の発症予防に明らかな効果はみられなかった。
結論:中程度もしくは重度の低タンパク血症を伴うPLEの犬に25%HSAを投与した場合、急性もしくは遅発性副反応が起こり、発症頻度は高くないものの、重症もしくは致命的になり得ることがこの回顧的研究によって示唆された。
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