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赤血球の保存温度と時間

全血や赤血球製剤を保存する場合は冷蔵保存が原則とされており、保存されていた血液を使用する場合、細菌増殖リスクを懸念して4時間以内に終わらせる「4時間ルール」があることは以前別の記事で紹介させていただきました。しかしその記事において研究対象とされていたのは血漿製剤であり、室温で12時間かけての投与に不都合はなかったとしていますが、全血や赤血球製剤は細菌増殖だけでなく溶血リスクのことも考慮しなければいけません。

そこで今回紹介する論文では、一定時間冷蔵保存した犬の全血を1、4、10、25、35℃で24時間静置し、赤血球浸透圧脆弱性がどのように変化するのか、すなわち溶血リスクがどの程度上昇するのかを調査しています。結果、28日以上保存し、かつ25℃以上の温度に一定時間暴露させた場合に赤血球の脆弱性が上昇するとしています。

筆者たちは血液バンクからの輸送を念頭に置いてかなり長時間の静置時間を設けていますが、4時間ルールを意識することなく漫然と長時間かけて全血輸血している施設も少なくないのではないでしょうか。ぜひ本論文を通じて適切な輸血方法について再考して頂ければ幸いに存じます。

※abstractだけでは分かりづらい部分が含まれていたので、本文から一部引用して改変しております。

(担当: 瀬川)


任意の保存温度と時間における犬の赤血球浸透圧脆弱性の評価


著者: Yi-Lun Tsai, Davrald Webbe-Allen, Wen-Shan Lee


掲載誌: BMC Vet Res. 2025 Nov 24;22(1):101. PMID: 41286837


背景: 赤血球浸透圧脆弱性試験は人および動物の赤血球膜の安定性を評価するために行われており、輸血用血液の品質評価にも用いられている。過去の研究より、溶血リスクを最小限にするため輸血用血液バッグは1-6℃で保存することが最適とされているが、血液バンクからの輸送に伴う温度変動が赤血球膜の変性を引き起こし、溶血や赤血球の機能、活性低下を招く可能性が危惧される。


目的: 犬の全血製剤に保存時間および温度が及ぼす影響を、赤血球浸透圧脆弱性試験により評価すること。


方法: 抗凝固剤にCPDA-1を用いて15頭の犬から全血を250mLずつ採血し、1頭につき15本のセグメントチューブを作製して4℃で保存した。保存0、28、35日目において、異なる5種類の温度条件(1、4、10、25、35℃)でさらに24時間保存した上、赤血球浸透圧脆弱性試験を実施した。


結果: 1、4、10℃で24時間保存した場合の赤血球膜は安定していたが、保存28、35日目の検体を25、35℃で24時間保存した場合は赤血球の脆弱性が悪化していた。特に保存28日を超えた検体を35℃で24時間保存した場合、脆弱性の悪化が最も有意に確認された。


結論: CPDA-1を用いて抗凝固処理した犬の全血を28日以上保存し、かつ25℃以上の温度に一定時間暴露させた場合、赤血球膜の安定性が失われて溶血を引き起こす恐れがあるので注意が必要である。

 
 
 

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