top of page

アルファキサロンを用いた猫の献血採血

更新日:2023年8月17日

皆様は猫の献血採血時に鎮静処置を行う場合、静注、筋注などの投与経路、そして使用する薬物などの鎮静プロトコルを病院内で決めているでしょうか?本研究では、猫の献血採血時の鎮静方法を二つのプロトコルで検討した内容となっています。身近な鎮静剤を組み合わせた研究報告ですので、明日からの診療に繋がれば幸いです。

(担当: 仙波、瀬川、青木)


猫の献血採血時において、2種類の筋注鎮静プロトコルを用いた場合の鎮静の程度、覚醒および静脈穿刺のしやすさの比較


著者: Reader RC, Barton BA, Abelson AL.

掲載誌: J Feline Med Surg. 2019 Feb;21(2):95-102. PMID: 29512429

目的: 2種類の筋注鎮静プロトコル (アルファキサロン・ブトルファノール: AB、デクスメデトミジン・ブトルファノール: DB) を猫の献血採血時に使用し、鎮静の程度、覚醒および静脈穿刺のしやすさを比較すること

研究デザイン: 無作為割付、盲検、クロスオーバー、実験的研究

対象動物: 一般家庭で飼育されている10頭の健康な猫

方法: AB (アルファキサロン2mg/kg、ブトルファノール0.2mg/kg) あるいはDB (デクスメデトミジン10μg/kg、ブトルファノール0.2mg/kg) により鎮静処置を施して献血採血を行った。そして、どちらのプロトコルで鎮静されているかを知らされていない評価者が、筋注時の反応、鎮静の程度、覚醒に要する時間を評価した。具体的な評価項目として、横臥している時間、静脈穿刺を試みた回数、採血に要した時間、腹臥状態に復帰した時間を測定した。また、消化器症状の有無も記録した。なお、全血53mLを最大献血量とし、採血には3-22分程度の時間を要した。採血後は乳酸加リンゲル液を100mL皮下点滴した。飼い主にもどちらのプロトコルで鎮静しているかを知らせない状態で、鎮静処置後の様子をアンケート評価した。

結果: 両群とも筋注時にトラブルはみられなかった。鎮静中の様子 (P=0.30) や行動 (P=0.06) に差は認められなかった。AB群と比較してDB群は有意に筋緊張を緩和させた (P=0.03)。横臥時間 (P=0.12)、静脈穿刺を試みた回数 (P=0.91)、採血に要した時間に有意差は認められなかった (P=0.29)。また、simple descriptive scoresを用いた鎮静からの回復の評価 (P=0.18)、鎮静後24時間以内の飼い主によるアンケート評価に有意な差は認められなかった。ただし、DB群で投与後に1例嘔吐を認めた。

結論: 猫の献血採血時にブトルファノールと組み合わせて筋注により鎮静を試みる場合、アルファキサロンはデクスメデトミジンの適切な代替薬になり得ると思われた。




閲覧数:1,009回0件のコメント

最新記事

すべて表示

輸血適応疾患の検討: 犬の免疫介在性血小板減少症

前回に引き続き、今回も輸血について直接研究した論文ではありませんが、輸血適応について考えることをテーマとして犬の免疫介在性血小板減少症(ITP)に関する論文を取り上げたいと思います。この2024年5月にACVIMからITPの診断に関するコンセンサスが発表されましたのでITPは現在とても話題性の高い疾患です。 今回紹介する論文の中で、一次性ITPの血小板数は中央値5,500/µL(範囲0-26,00

輸血適応疾患の検討: 犬のセルトリ細胞腫

今回紹介する論文は犬の骨髄抑制を伴うセルトリ細胞腫症例の治療成績を報告したものです。直接的に輸血について研究した論文ではありませんが、セルトリ細胞腫による汎血球減少を呈した症例に対する輸血適応や輸血用血液の準備を考える上で非常に重要と思われます。本文をみると初診時のヘマトクリット値が8.8%の症例もいれば49.3%の症例もいるようで、かなりばらつきはありますが、皆様の日頃の診療の参考になれば幸いで

腹腔内出血と輸血適応判断基準

これまでにも何度か腹腔内出血と輸血に関する記事をあげてきたように、腹腔内出血は遭遇する頻度の高い病態であり、同時に輸血適応の判断が速やかに求められる病態でもあります。一方、腹腔内出血時の輸血適応判断は各獣医師の経験則に基づくところが大きく、輸血適応の基準に関して科学的に検討されている報告は多くありません。 そこで、ご存じのように急性出血時にPCVが減少するまでには数時間要することがあると言われてい

Comments


bottom of page