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犬の輸血の有効性および副反応リスク

更新日:2025年12月30日

先月の猫の急性輸血反応発生率とリスク因子に続いて、今月は再び犬の輸血の有効性および副反応リスクに関する論文の紹介です。先月の論文はアメリカとイギリスの多施設共同研究でしたが、今月の論文はデンマークの一施設から報告された内容となります。

以前の犬の急性輸血反応に関する論文では発熱性非溶血性輸血反応が4%で最多、急性溶血性輸血反応が2%の症例でみられたとありましたが、今回の論文では症例数ベースでみると急性溶血性輸血反応が最多の8%、発熱性非溶血性輸血反応が次点で2.9%と本文に記載してあります。12頭に1頭の割合で急性溶血性輸血反応が生じているのは懸念されますが、発熱性非溶血性輸血反応が他の論文と比較して少なかったのは白血球除去を全例で行っているからではないかと考察されていました。

住血線虫の症例が全体の2割以上など、日本とはだいぶ症例の特性が異なっている点も含めて大変興味深い論文となります。ぜひ本文も含めてご参照いただければと思います。

(担当: 瀬川)


犬における輸血の有効性および輸血反応のリスク因子に関する回顧的研究


著者: Neline G Holm, Lise N Nielsen, Rebecca Langhorn


掲載誌: J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2025 Sep-Oct;35(5):551-563. PMID: 41070396


目的: 犬における輸血療法の有効性ならびにAVHTM(The Association of Veterinary Hematology and Transfusion Medicine)が定義した輸血反応のリスク因子を明らかにすることを目的とした。


研究デザイン: 2018年1月~2022年3月に来院した症例データを元に、コホート分析を伴う横断研究を回顧的に実施した。


研究実施施設: コペンハーゲン大学附属動物病院


研究対象: 犬137頭


介入: なし


方法および主要な結果: 輸血を実施された犬の医療記録および輸血記録を調査し、輸血の有効性とAVHTMのコンセンサスで定義された輸血反応について評価した。結果、血液製剤217検体ならびに190件の輸血の情報が医療記録より抽出され、そのうち29.5%で輸血前に想定していた通りに、23.7%は想定を下回るものの有効性が確認された。一方、残念ながら9.4%は輸血の有効性が得られず輸血前と状態の変化がみられなかった。特に輸血の有効性が確認された適応症は貧血、低アルブミン血症、住血線虫(Angiostrongylus vasorum)感染に伴う止血異常であった。輸血反応は17頭(12.4%)で確認され、最も多かったものは急性溶血性輸血反応で輸血反応全体の61.9%を占めていた。しかしながら、AVHTMが定める輸血反応の定義を完全に満たしたケースが14.2%、他の病態である可能性も否めないが輸血反応と思われたケースが76.2%であり、輸血反応が否定できないもののどちらかと言えば他の病態由来の反応と思われたケースが9.6%であった。輸血反応は赤血球製剤で多くみられており(p≤0.0001)、疾患別でみると免疫介在性溶血性貧血の症例が有意に多かった(p=0.002)。逆に輸血反応と因果関係がみられなかった項目は、輸血量(p=0.8)、輸血速度(p=0.053)、赤血球製剤の保存期間(p=0.3)、輸血歴(p=0.3)であり、輸血反応を起こさなかった症例の方が輸血の有効性が有意に高かった(p=0.008; オッズ比: 6.3, 95%信頼区間: 1.6-28.6)。


結論: 29.5%のケースで輸血の有効性が確認され、赤血球製剤を投与する場合と免疫介在性溶血性貧血の症例に輸血を行う場合に輸血反応がより多く認められた。


 
 
 

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