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輸血と感染症2

以前、イタリアの動物用血液バンクでの節足動物媒介性の病原体保有率に関する報告を紹介しましたが、今回は同時期に発表されていたカナダの血液バンクでの報告となります。犬においてバベシアヘモプラズマが輸血によって感染した報告がありますので、感染症のスクリーニング検査をどこまで、あるいはどの頻度で行っていくのかは議論の尽きないところです。

手前味噌ではありますが、きたる2026年5月24日の日本獣医輸血研究会 第14回学術講習会の中で、ドナーの検査などガイドラインを見直すシンポジウムを開催予定です。ぜひ今回紹介する論文を通じて輸血と感染症に関心を持っていただき、学術講習会へ奮ってご参加くださるようお願いいたします。

(担当: 瀬川)


カナダにおける献血ドナー犬からの血液媒介感染症の伝播リスク


著者: Charlotte Nury, Marie-Claude Blais, Julie Arsenault.


掲載誌: J Vet Intern Med. 2021 May;35(3):1316-1324. PMID: 3396053


背景: 犬の献血ドナーは様々なベクター媒介あるいはその他の感染症に罹患している可能性があり、それらの病原体が輸血によってレシピエントに伝播して重篤な合併症や致死的なトラブルを引き起こす可能性が危惧される。


目的: カナダのドナー犬から採取した血液を検査し、感染する恐れのある病原体の陽性率を評価すること。


供試動物: 2010年3月から2016年12月の間にカナダの動物用血液バンクに登録されていたドナー犬1,914頭から、6,150検体の血液を採取した。


方法: 血液検体はSNAP 4Dx/4Dx PlusおよびPCRによって感染症のスクリーニング検査を行い、ドナー犬と検査結果の情報を回顧的に精査した。そして各病原体の陽性率はロジスティック回帰分析によって統計処理を行った。


結果: SNAPを行った1,779検体のうち、0.56%(10検体)がAnaplasma phagocytophilum/platysに対して抗体陽性となったが、Ehrlichia canis/ewingiiが陽性反応を示したものはみられなかった。Anaplasmaに対して抗体陽性となった10検体を除いた6,140検体に対してPCR検査を行ったところ、1.1%の検体においてAnaplasma phagocytophilum、Bartonella、Brucella canis、Candidatus Mycoplasma haematoparvum、Mycoplasma haemocanisのいずれか一つあるいは複合感染が確認され、特に初回献血においてPCR陽性例が多く認められた(P<0.001)。一方、Babesia、Ehrlichia、Leishmaniaは一例もみられなかった。


結論と臨床的意義: カナダの動物用血液バンクにおいて血液媒介感染症への罹患率は決して高くなかったが、陽性例が認められたという事実は無視できるものではない。したがって感染症スクリーニング検査の重要性が改めて確認されたと同時に、特に初回献血時は注意が必要と思われた。

 
 
 

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