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猫と犬の異種間交差適合試験

以前、犬の濃厚赤血球液を猫に異種間輸血した文献を紹介しましたが、今回はIn vitroにおける猫と犬の異種間での交差適合性について着目した研究です。結果、あくまでIn vitroではありますが、B型猫はA型猫よりも犬の血球の方が3.4倍も適合しやすいという内容に大変驚かされました。特にB型猫は遭遇頻度が低くドナーの確保が困難となりますので、危機的出血時など一刻を争う場面で「不適合と分かっているA型猫から輸血すべきか、それとも犬の赤血球濃厚液を異種間輸血すべきか」を非常に考えさせられる内容です。

皆様もぜひご一読ください。

(担当: 瀬川)


B型猫の血液に対して犬あるいはA型猫の血液を用いた交差適合試験


著者: Eva Spada, Roberta Perego, Mauro Di Giancamillo, Chiara Giudice, Maurizio Longo, Luciana Baggiani, Alejandro Zuliani, Vito Biondi, Daniela Proverbio.


掲載誌: Vet J. 2026 Jun 11:318:106742. PMID: 42276156


背景: B型猫に対し適合する猫の血液を用意できない場合、緊急手段として犬からの異種間輸血を考慮されることがある。しかしながら、B型猫の血液と犬の血液で交差適合試験を行った場合、どのような結果を示すのか明らかにはされていない。


目的: B型猫とDEA1陽性/陰性犬、そしてB型猫とA型猫の組み合わせで交差適合試験を行い、その適合性を評価することとした。


方法: B型猫70頭、A型猫17頭、DEA1陽性犬26頭、DEA1陰性犬18頭の血液を用意し、交差適合試験の主試験および副試験を実施した。


結果: 主試験を行った300検体のうち、不適合は犬で28.7%(66/230検体)、A型猫で98.6%(69/70検体)認められ、犬よりもA型猫の赤血球で明らかに不適合が確認された(相対リスク 3.4, 95%信頼区間 2.7-4.2; P<0.0001)。一方、副試験を行った287検体のうち、不適合は犬で85.3%(186/218検体)、A型猫で37.7%(26/69検体)認められ、A型猫よりも犬の血漿で明らかに不適合が確認された(相対リスク 2.2, 95%信頼区間 1.6-3.0; P < 0.0001)。なお、犬のDEA1(陰性・強陽性・弱陽性)に関して、B型猫との適合性に違いはみられなかった。


結論: B型猫と適合する猫の血液を用意できない緊急時において、適合性を事前に確認した「犬の赤血球濃厚液」の単回輸血は、救命手段の一つとして検討する価値があると考えられる。ただし、異種間輸血であるため慎重なリスク評価が不可欠であること、また犬の「血漿」は高確率で不適合となるため使用を避けるべき点に留意する必要がある。

 
 
 

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