top of page

Dal陽性率と遺伝形式

更新日:2023年8月17日

比較的新しい血液型抗原の「Dal」のことは皆様ご存知でしょうか?残念ながら日本国内ではルーチンに測定できない血液型ではありますが、多くのドナー犬がDal陽性である一方、日本で人気犬種のシーズーはDal陰性であることが多いようです。シーズーに二度目以降の輸血を考える場合、クロスマッチ不適合が続く場合はDalが原因かもしれません。今回は、そのような論文のabstractを紹介したいと思います。

(担当:中村、瀬川、近江)


犬の血液型抗原Dalの陽性率と遺伝形式

著者:Goulet S, Giger U, Arsenault J, Abrams-Ogg A, Euler CC, Blais MC

掲載誌:J Vet Intern Med. 2017 May;31(3):751-758. PMID:28391649


背景:犬における新規血液型抗原のDalは、Dal(-)のダルメシアンがDal(+)の犬からの輸血によって10年前に偶発的に確認された。同様のDal抗原不適合は、上記以外のダルメシアン、ドーベルマン、およびその他の犬種でも考えられている。

目的:犬の血液型抗原Dalの陽性率と遺伝形式の調査。

対象:本調査は2008年から2015年の期間に北米にて行われた。調査対象はダルメシアン128頭、ドーベルマン432頭、シーズー21頭、およびその他の犬種549頭(ドナー犬228頭を含む)の合計1130頭とした。

方法:犬ポリクローナル抗Dal血清を用いたゲルカラム法により、Dal陽性率を前向き調査した。また、家系調査を8系統行った。

結果:地域によって異なるが、Dal(+)はダルメシアンで85.6〜100%、ドーベルマンで43.3〜78.6%であった。Dal(-)は概ねダルメシアンで11.7% (15/128頭)、ドーベルマンで42.4%(183/432頭)、シーズーで57.1% (12/21頭)であり、その他には雑種犬2.5%(3/122頭)、ラサアプソ(1/6頭)、ビションフリーゼ(1/3頭)で散発的に確認された。ダルメシアンとドーベルマンのドナー犬および上記228頭のその他の犬種のドナー犬の中では、5頭のドーベルマンを含む6/245頭(2.4%)だけがDal(-)であった。Dal抗原の遺伝形式は常染色体優性であった。

結論および臨床的意義:多くのドナー犬がDal(+)であることから、Dal(-)の割合が高いドーベルマン、ダルメシアン、シーズーでは、輸血によって感作される危険性が示唆された。したがって、これらの犬種において初回輸血後に血液型不適合の問題が発生する場合、血液型抗原Dalの判定を推奨する。


閲覧数:252回0件のコメント

最新記事

すべて表示

クロスマッチとクームス血清

獣医療で一般的に行われているクロスマッチは、主にIgMによる不適合輸血を防ぐ目的で行われています。一方、医療ではIgGによる不適合輸血を回避する目的で、クームス血清を用いて検査感度を高めた「間接抗グロブリン試験」もあわせて実施しています。なぜクームス血清を用いるかは皆さまご存じのことと思われますが、IgG単体では赤血球凝集を引き起こすことができない=クロスマッチで検出できないとされているからです。

猫にもボンベイ型?

今回ご紹介する論文は猫の血液型に関するものですが、かなりマニアックな内容となっています。まずは猫の血液型についておさらいしましょう。血液型は通常、赤血球膜上の抗原の種類によって血液型が決定します。猫の場合、赤血球膜上にA抗原があればA型、B抗原があればB型、A抗原とB抗原両方あればAB型となります。しかし今回論文で紹介されている猫の症例は、人間のO型のようにA抗原やB抗原が検出されなかったというの

猫の血液と微小凝集塊除去フィルター

犬に輸血を行う場合、ある程度の輸血量になることが多いので血液バッグ+輸血セットの組み合わせになることが多いと思います。この輸血セットには点滴筒の上部に直径175-210μm(テルフュージョン®の場合)のろ過網が付いていて、比較的大きな凝集塊を除去する目的で使用されます。 一方、猫に輸血を行う場合は輸血量が50mL程度と少ないことがほとんどなので、採血した血液を分離バッグなどに移して輸血を行うか、シ

bottom of page