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犬の血液型Kai1とKai2 続報

7 分前
読了時間: 3分

8月に続いて、犬の血液型「Kai1」と「Kai2」について調べた論文をご紹介します。前回紹介した論文では基礎的な研究内容が主体でしたが、今回の論文では北米の犬503頭の抗原の出現頻度を調査しています。

結果、94%がKai1陽性/Kai2陰性であり、さらにはKai1やKai2陰性の犬が同抗原に対して自然抗体を認めないことが明らかとなりました。つまり、初回輸血時はKai1やKai2に対して血液型不適合による副反応を起こす恐れはありませんが、2回目以降の輸血では注意が必要かもしれません。特に出現頻度の低いKai1陰性の犬がレシピエントとなった場合、2回目以降の輸血時にはドナー捜索が難航する可能性が示唆されます。

犬の血液型の多様性を知るうえで興味深い報告ですが、日本で身近に利用できる犬の血液型検査は現在もDEA1が中心です。KaiやDalを調べようとすると、海外からの検査キットや試薬の取り寄せなど、検査手段を確保するところからハードルがあり、個人的に残念に感じています。こうした血液型がもっと気軽に調べられるようになれば、日本国内での動物の輸血研究もさらに進むのではないかと、今後に期待したいところです。

(担当: 中村)


北米における犬の2つの新規血液型Kai1とKai2およびその他の血液型調査


著者: C C Euler, J H Lee, H Y Kim, K Raj, K Mizukami, U Giger


掲載誌: J Vet Intern Med. 2016 Sep;30(5):1642-1647. PMID: 27627791


背景: 血清学的研究により、犬においてこれまで10種類以上の血液型が報告されている。


目的: そこで本研究では、DEA1および新しい血液型であるKai1とKai2、一部の検体についてはDalならびにDEA3、4、7について出現頻度調査を行うことを目的とした。


方法: 飼い主、ブリーダー、動物用血液バンクおよび検査会社から提供された血液検体を用い、DEA1はモノクローナル抗体を用いたイムノクロマトグラフィー法で判定した。Kai1およびKai2、Dalおよびその他のDEA(試験管法で判定したDEA7を除く)は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いたゲルカラム法で評価した。同種抗体の検出にも同様のゲルカラム法を使用した。


結果: 血液型を判定した503頭のうち、59.6%がDEA1陽性であり、内訳は弱陽性が4%、中等度陽性が10%、強陽性が45.6%であった。Kai1およびKai2については、94%がKai1陽性/Kai2陰性、5%がKai1陰性/Kai2陰性、1%がKai1陰性/Kai2陽性であり、両方が陽性の犬は認められなかった。Kai1およびKai2と、今回調べたその他の血液型との間に関連は認められなかった。DEA1陰性、Kai1陰性、Kai2陰性の犬、あるいはそのいずれかが陰性の犬の血漿からは、DEA1、Kai1、Kai2に対する自然抗体は検出されなかった。


結論および臨床的意義: Kai1およびKai2と呼ばれる新しい血液型は、DEA1、3、4、7およびDalとは異なる血液型であることが確認された。北米においてKai1陽性/Kai2陰性の組み合わせが最も多く認められたが、犬の輸血医療におけるKai1およびKai2の臨床的意義については今後さらなる調査が必要である。

 
 
 

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