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猫の茞血に甚いる茞液ポンプ

曎新日2023幎8月17日

動物病院ではしばしば茞液ポンプをお䜿いのこずず思いたすが、その茞液ポンプが「茞血」に適しおいるものか考えられたこずはありたすでしょうか通垞の茞液ポンプの送液システムはペリスタルティック方匏ず蚀っお、茞液セットのチュヌブを耇数の䞞棒が送液方向ぞ波動状に蠕動運動しながら、チュヌブを完党閉塞させるかたちで抌し出す方法が採甚されおいたす。これらの茞液ポンプは必ずしも茞血時の䜿甚を考慮せずに販売されおいるため、チュヌブが完党閉塞される際に赀血球の機械的溶血を匕き起こす危険性が指摘されおいたす。

䞀方、たずえばテルモ株匏䌚瀟の販売しおいる茞液ポンプは、ミッドプレス方匏ず蚀っお、チュヌブを完党には抌し぀ぶさない方匏を䞀郚機皮で採甚しおいるため、赀血球の機械的溶血を軜枛できる可胜性が瀺唆されおいたす。これらの送液システムが実際にどの皋床、臚床的意矩のある赀血球の溶血を匕き起こすのか、今回はその点に泚目した論文の玹介です。

日本ではみかけない機皮を䜿甚した報告であり、意倖にもペリスタルティック方匏の茞液ポンプがそれほど猫の赀血球に悪圱響を及がすこずはなかったずいう結論ではありたしたが、普段䜕気なく䜿甚しおいる茞液ポンプの送液システムに぀いお考えを深める良い機䌚ずしおお読み頂ければ幞いです。

担圓: 瀬川


猫の赀血球濃厚液茞血においお茞液ポンプが匕き起こす機械的溶血の定量評䟡


著者: Carles Blasi-Brugué, Ignacio M Sanchez, Rui Rf Ferreira, Augusto Jf de Matos, Rafael Ruiz de Gopegui.


掲茉誌: J Feline Med Surg. 2021 Dec;23(12):1149-1154. PMID: 33719675


目的: 人ず犬の赀血球濃厚液においお、ペリスタルティック方匏の茞液ポンプにより赀血球の溶血が匕き起こされるこずが指摘されおいる。そこで本研究の目的は、二皮類のペリスタルティック方匏の茞液ポンプが長期保存した猫の赀血球濃厚液に察しお溶血を起こすか調査するこずずした。


方法: 赀血球保存甚添加液にSAGMアデニン、デキストロヌス、マンニトヌル、塩化ナトリりムを甚いた猫の赀血球濃厚液を䜜補し、冷蔵で35-42日間保存した。その埌、埄180ÎŒmのフィルタヌ぀きの茞血セットを甚いお、たずは自然滎䞋8滎/分により1.3mLのサンプルを回収した。次に「NIKI V4」ずいう機皮の茞液ポンプを甚いお25mL/hの速床で送液しお1.3mLのサンプルを、最埌に「Infusomat FmS」ずいう機皮の茞液ポンプを甚いお同様に1.3mLのサンプルを埗た。そしおそれぞれのサンプルを甚いお、ヘマトクリット管によるPCV枬定、ヘモグロビン濃床の枬定、分光光床蚈による遠心䞊枅の遊離ヘモグロビンの枬定、溶血床の評䟡を行い、フリヌドマン怜定により統蚈解析を実斜した。


結果: 猫の赀血球濃厚液を15怜䜓評䟡したずころ、溶血の床合いは自然滎䞋矀が1.12%、NIKI V4矀が1.13%、Infusomat FmS矀が1.14%であり、それぞれに有意な差は認められなかった。


結論: スペむンずポルトガルの動物病院で䞀般的に䜿甚されおいる二皮類の茞液ポンプを甚いお25mL/hで滎䞋した堎合、自然滎䞋ず比范しお猫の赀血球濃厚液を明らかに溶血させるこずはなかった。



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